ごめんね、キミが好きです。~あと0.5ミリ、届かない想い~

「望君?」

 不意に横から声をかけられて、あたしと坂井君は同時にパッとそっちを振り向いた。

 大学生くらいの年齢の、パーカーにジーンズ姿の男の人がベンチの横に立っている。

 坂井君が弾かれたように立ち上がるのを見て、あたしも急いで立ち上がってその人と向かい合った。

「三津谷さんですよね? お久しぶりです」

「うん。久しぶり。望君、大きくなったね」

「はい、あの、ありがとうございました。その、お通夜に来ていただいたみたいで……」

「ああ、うん。えぇと、この度はどうも……」

 お互い、ひどくモゴモゴと言いづらそうな挨拶を交わすふたりの様子を、あたしは何も言わずに見ていた。

 ふたりとも、軽く下げ合っていた頭を上げてからは、次の言葉を探すように視線を泳がせている。

 このぎこちない雰囲気からして、お兄さんと絶交してから、本当に一切の交流はなかったんだろう。

 このふたりの間にある接点はたぶん、お兄さんの存在だけ。

 そのお兄さんが亡くなってしまった今になって、顔を突き合わせることは、とても気まずいんだろうなと思った。