「ん……あれ、紗良ちゃん?」 いつまで経っても慣れない名前呼びに、きゅんと心臓が跳ねる。 ゆっくりと開いたその瞳に、私が映る。 それだけでどうしてこんなに幸せなんだろう。 「お昼寝ですか?」 「うん、紗良ちゃんも一緒に寝る?」 「何、言ってるんですか」 前園先輩は、掴めない。 ふわふわして、何考えてるのかわからなくて。 目を離したらすぐに、どこかに消えてしまいそうだ。