「ーーねえ」 ひとりで帰ろうとした昇降口。 聞き覚えのある、大好きな声にびくりと肩を揺らした。 「沙良ちゃん」 恐る恐る振り向けば、不機嫌な彼。 「前園、せんぱ…」 久しぶりに見る彼に、やっぱり好きだなぁって思い知らされて。 離れていた一週間で、気持ちは無くなるどころかどんどん大きく膨らんで。 そしてまた、たったひと言名前を呼ぶだけで、私の心を支配するんだ。