「あ、そだ。三葉、わたし放課後は部活だけど待ってる?」 莉子は、部活のボストンバックを肩にかける。 期待のスプリンターは今日もきっと綺麗に風を切るんだろう。 「頑張ってね!もちろん待ってるよ?中庭にいようかなって。あそこは静かだし」 「中庭……ね。わかった。まあ、気を付けて」 気を付けるって、何に……? 珍しく莉子が神妙な面持ちでそんなことを言うけど、この時あたしは気にも留めてなかったんだ。