「バニラの香りだよね?」 え……? 玲央の香りの正体をさらりと言い当てる弾むような声。 一度は逸らした視線をゆっくり戻せば、綺麗なマロンクリームの色をしたボブカットがふわふわ揺れていた。 「玲央君の香り。私、好きだなあ……」 ーーードキッ それは、過去のあたしも同じことを思った。 ストレートに口にして伝える女の子になぜか胸が反応する。