「オレはお前のこと忘れた日なんてねぇよ」


「……なによ、それ」



玲央なんかに会いたくなかったのに。



きっと、会ってしまったら思い出すから。



お日様みたいに温かい言葉とか、意地悪な笑顔がいつもそばにあったこととか、あのーー耳を塞ぎたくなる、刺さるような冷たい言葉も。



「オレ、キスしたこと悪いと思ってねぇから。だから謝んねぇよ?」



不機嫌に呟くと玲央は背中を向けて歩き出す。


アパートから離れていく玲央の背中に言葉を投げつけた。



「……アンタなんて、幼馴染みでもなんでもない!全部、もう……忘れるんだから!」



ーーーファーストキスは、あの頃よりもずっと苦かった。