罵声からは何度も逃げたかった……。
ヒソヒソ、聞こえるか聞こえないかの声も、いつだって笑われるだけの自分からも。
だけど、玲央や莉子の言葉を思い出して自分から逃げちゃダメだって、精一杯打ち勝とうとしていたんだと思う。
そして、中二のバレンタイン当日……。
あたしは昨夜、お母さんに教えてもらいながら作ったショコラノアールを持って、玲央の待つ放課後の教室へ向かった。
甘党なあたしと違ってビターな玲央には糖度が濃くない方がいいって思って。
玲央は、どう思うんだろう……。
困るかな、迷惑かな、嫌がられたりしないかな。



