【完】好きなんだからしょうがないだろ?




 * * *



まだ恋心なんて芽生える遠いお話。



お母さんはお菓子作りが大好きで家の中はいつも甘くていい香りがして、出来上がりを知らせるオーブンのかろやかな音は一番わくわくする瞬間。



甘いものが大好きなあたしはそうやって育って、玲央とはご近所さんで幼稚園から一緒だった。



その時から玲央はいつもいい香りがして、それに誘われるようにあたしはいつも玲央の後ろをくっついてった。



「……玲央って、いつもいい香りがするよね?なんでだろ?」


「なんででしょう?」



なーんて、玲央はこの頃からちょっと意地悪なところがあったと思う。