「ちょ、ちょっと、どこ行くの……?」



無言のまま手を引かれる。

玲央の温度にあたしの鼓動はどんどん加速していく。



「ねぇったら!玲央……っ、」



学校から少し離れた場所まで来るとピタリと足を止めて振り返った。



「なっ、なに……?」



じっ、とあたしを見つめる。

息を呑むと、くしゃりとあたしの前髪を柔く掴んで端正な顔を近づける。


その口の端に意地悪な笑みを滲ませて。



「こういう時は、ありがとうだろ?」


「……うん」



ドキドキして目を伏せる。


前にもこんなことを言われた気がするのに、どうして素直にそれが言えないかな、あたしは。