【完】好きなんだからしょうがないだろ?




反射的に向かってきた足が、踵を返す。



「ま、また、そうやって逃げるの……?」


「……っ、」



莉子の声が真剣だった。


けど、あたしは……だって怖いから、と情けない台詞を口に出してしまいそうになる。



「また明日は学校に来なくなって、死んだ魚みたいな目して、一人で閉じ籠るの……?」



あんな、海の底に沈んでいくような思いは、二度としたくないのに。


過去は……どんな時もこうやって、無遠慮に顔を出して付きまとってくる。



「っ、ふざけないでよ……!三葉のバカっ!甘ったれ!大人になれば嫌なことなんかきっと腐るほどあるよ!その度に……逃げるの?太ってたから何よ!?頑張って痩せたことの何がいけないの!?アンタは、それで悔しくないの……!?」



……堰を切ったみたいに莉子がまくしてた。