「だってさ、それはつまりーーー」
そんな、夢みたいなこと。
あるわけないって思ってしまうのに、どうしてこんなにも、焦がれてしまうんだろう。
「俺は勝手にそう思っちゃったけど、麻白さんは、どう思う?」
仁科君の言葉に反響したみたいに胸が高鳴ったのは、玲央のことを想ったら堪らなくなったから。
「あたし、学校に行かなきゃ……っ、まだちゃんと向き合ってもない。玲央とも、自分自身とも……」
「ん……麻白さん、今度は一人で立たなくちゃ」
仁科君の眼鏡の奥の瞳が優しく背中を押してくれた気がする。
だから、迷いを消して頷く。
そして飛び出すように地面を蹴って、あたしは走る。



