でも、莉子はどこか物悲しく笑うんだ………。 「綺麗だ」 ……と、その低い声が、グラウンドの輪の中にいる莉子へ駆け出そうとしたあたしの足を止めた。 声の人物に気づいた周囲が、驚きに満ちた表情を浮かべて、騒然としていて。 「っ、どうして……?」 そんな気の抜けた炭酸みたいな声しか出ない。 漆黒の、黒い髪が微かに風に揺れる……。 周りの色めきだった声も、驚きも、あたしにはずっと遠く聞こえるほど信じられなかったから。