ーーー“誘惑プリンス”


そう呼ばれている理由くらい聞いたことがある。



ハニーブラウンの色に染まるその髪は、誰もが一度は触れてみたいと心をくすぐられるほど綺麗に輝いてる。


妖しさを放つ、麗しの笑みは頬を染め上げるには充分すぎるほど。


ビターな瞳に魅せられる女の子は数知れず。


眉目秀麗という言葉は、四ノ宮 玲央のためにあるんじゃないかって思わせられる。



そして甘い甘いバニラの香りに誘われて、また一人……と、四ノ宮 玲央に胸をときめかせる。



けど、そのハニーブラウンも甘いバニラの香りも、あたしにはただただ辛いだけで。



本当は、幼馴染みということも、全て忘れてしまいたかったんだ。