玲央とは空き巣が怖くて押しかけた夜以来、学校で見かけることはあってもまともに顔を合わすことがないままで。


雨模様などんやりした気持ちを抱えたまま、体育祭当日を迎えてしまった。



「暑っ……」



莉子がタオルで汗を拭うと恨めしそうに呟いた。

その姿は勇ましい。



「莉子、おやじクサイ……」



絶好の体育祭日和ではあるけど。


個人種目まで各クラスの待機場所へ座るあたしと莉子は不満を漏らす。


莉子はもう既に一種目を終えている。


    
「三葉、次はアンタも出るんだからね?」


「うん。借り物競走かぁ……」


「うちの高校は借り物じゃなくて、“借り者”、競走の方だけどね?」


「へ……?」