そんなありふれた会話が嬉しいと思った。 苦い記憶は少しだけ何かのきっかけで変わることもあるんだなって。 「そうだ。よかったら一つ食べてよ?」 「え……っ、いいよ悪いから……」 仁科君は紙袋から小分けにラッピングされたクレームブリュレを取り出してあたしへと差し出した。 「また、会えるといいね?」 その言葉が何だか無性に嬉しかった。 小さく笑った仁科君に手を伸ばしてありがたくそれを受け取る。 「ありがとう、仁科君」 西に傾く太陽があたし達を照らし出した。 「麻白さん……!」