玲央がピンチヒッターって知ってるわけで。


ましてや、二人はクラスだって同じなんだから。



「あそこじゃ二人きりになれないもん」


「ふ……っ、二人きり?」



問いかけるあたしに御木本さんは靴を履き替えてトントンと爪先を揃える。


そして、くるんと華麗に振り返った。



「そうだよ?」



何言ってるの……っと、言いたげな瞳でキョトンとしてみせる。



「私、玲央君のことが好きだから」



迷いのない、声が。


放課後の騒がしい生徒達の声を裂くように、御木本さんの弾けるような声が響いた。