悩ましげな表情はあたしの鼓動をさらに煽る。


“理性”……。


言葉の意味は、なんとなくわかっているつもりだった。


玲央の声色にはいつもの余裕なんてなくて。


だから、それが冗談でもからかってるんじゃないってことも理解出来てしまう。



「三葉」



あたしを映す玲央の見惚れるくらい綺麗な瞳が近づいてくる。



濡れたハニーブラウンの髪から水滴が降ってきて、反射的に目を伏せた瞬間。


玲央の大きな手があたしの頭の後ろにまわって、静かに引き寄せられた。



ーーーそして、唇が重なった。