「だから、あんな男のために泣くな」


「こ、コレはっ……?」



轟先輩はポケットから乱暴に手を抜くと、俯くあたしの目の前に差し出す。


大きな手のひらいっぱいのキャンディを。



「さっきの店のレジ横にあったもんだ。勝手にもらっていいと書いてあったから、アンタにやる」



轟先輩の手のひらから溢れ落ちそうなカラフルなキャンディを見てあたしはつい口元が緩んだ。