【完】好きなんだからしょうがないだろ?




夕暮れに沈黙が舞い落ちる。


静寂した宙を裂くように、そっと……玲央があたしへと手を伸ばす。



「三葉は、お前にはやらない……」



儚く揺れる瞳があたしを見据えていた。


そんな、信憑性のない言葉は心の奥底にほろ苦く舞い落ちる。

 
玲央の指先があたしの頬に触れそうになった時。



「……今さら、遅いよ……っ、」



あたしの口をついて出た言葉。


どうして、玲央が今さらそんなこと言うの……?


だったらなんで……なんで、あの時、突き放すようなことを言ったんだろう。



「三葉」



あの頃と変わらない声であたしの名前を呼ぶ。


だから。


玲央の顔が滲んで見えるのは、きっと……溢れ落ちた涙のせい。