な……っ、なに、この騒ぎは?


プリンスって、あの噂されてた誘惑プリンスとかいう……。



「り、莉子……?」


まさか、ね……?


あたしは嫌な予感をぶつけるように、壊れた人形みたいにギシギシと首を動かして莉子に視線を移す。



「だ、たがら。あの誘惑プリンスっていうのは、四ノ宮のことだよ……」



巨大な隕石でも落下したような衝撃だった。


その受け止め難い事実が、あたしの中でエコーみたいに何度も木霊している。



「いや、あんな、あんな最低なアイツのどこがプリンスなわけ……っ!?」


「……誰が、最低だって?」