「好きなんだからいいだろー!
糖分補給だよっ!糖分補給っ!」


そう言って、パンをひとくちかじった瞬間、屋上の扉が開いて女の子4人が姿を現した。


そのうちの1人と目が合ってドキッとした。


やっと直った黒ぶちのメガネによって、
遠くからでもハッキリと見える苺の姿──。



──葵本だ。
葵本 苺──。


入学式の記憶が忘れられない俺は、すぐにその女の子が誰だか分かった。


自己紹介の時から忘れられない名前──。