──side壱──

葵本の誕生日──。

いつ渡そうかって、ずっとずっと考えていた──。


受け取ってくれるかな───


誠也と章吾のバカ騒ぎを見て笑っていたけど──


ポケットにあるものを握り締めて、俺の頭の中は、そのことでいっぱいだったんだ──。


帰り道──

勇気を振り絞って、葵本を呼び止めて送ることにした。



ドキドキ──

何か話さなきゃって思うんだけど、言葉が出てこなかった。


聞こえてくるのは、葵本と俺の足音だけだった──。