いつもならお菓子を作り始める時間だけど、今日からはもう作る必要もないんだ。 そう思うと、やっぱり悲しくて、 気持ちを振り払うように走って裏庭に出た。 ベンチに座って空を見る。 奥の空は赤くなり始めていて、時間が過ぎ去りすぎたことを知る。 はぁ。 ため息を1つついてぼうっとするしか、今の自分には出来なかった。 「あれ?村本?」 名前を呼ばれて、ハッとする。 そこにいたのは加藤くんだった。 「加藤くん…」 誰もいなかったはずの裏庭に人が来たことに驚いた。