「で、なんで舞桜が呼ばれたのか聞いてよ。」


「あぁ、そうだね。
香坂、なんで私を呼んだの?」


「あ、そうだった。
俺なりに春翔の状態とか調べたんだけどさ、幽体離脱だとわりとすぐ体に戻れるんだと。長くても数時間で、こんな長く体から離れてんのはありえないらしい。
で、生き霊だと何日間か離れてることできるらしいから多分春翔は生き霊なんだろうな。」


「へー、そうなんだ。
で、どうやったら戻れるの?」


「調べたんだけどあんまり出てこねーんだよな。
そもそも、生き霊って意識があるときも魂飛ばせるらしい。」


「………よく意味がわかんないんだけど。」


「なんか恨みとかあって、恨んでる人にとりつく傾向があるらしい。」


「えぇ!?じゃあ私、和泉に恨まれてるの!?」


「いや、別にお前春翔に取りつかれてるわけじゃないだろ。
ただ春翔の事が見えて、春翔が近づいてるだけで。」


「まぁとりついてるわけじゃないな。
そばにいるだけ?これをとりついてるって言うのかもだけど。」


和泉…怖いこと言わないでよ…


「で、生き霊になる理由の大半が恋愛関係。
たとえば、彼女にフラれて春翔が好きすぎて受け入れたくなくて彼女が好きすぎて、生き霊になって彼女にとりつくとか。」


「………じゃあ和泉フラれたんじゃないの?優衣ちゃんに。」


「それなら昨日、病室に来てたのがおかしいだろ。」


「だから、それが理由で和泉が転んじゃって、意識失ったとか。責任感じて、だよ。
優衣ちゃんが立ち去ったあとに和泉が転んだなら優衣ちゃん目撃していなかったわけだしさ。」


「見てなかったなら責任感じてっておかしいだろ。」


「あ、そっかー。
まぁあとは元カレだから?情とかで一応お見舞いに、みたいな。
昨日の優衣ちゃん、いつもと違ったもん。
いつもの優衣ちゃんならきっとショックで倒れてるとか、泣いてそばから離れないとかすると思うの。
あんなすんなり帰っちゃうなんてなんかおかしいよ。」


「そうだとしたら、春翔はなんで竹下んとこにとりつかないでお前んとこにいたんだよ。
竹下が理由なら宮下じゃなくて竹下んとこに行くんじゃねーの?」


「………そりゃそうだけど…」


でも恋愛が原因なら優衣ちゃんしかいないじゃん。