「春翔くんは、今の将来の夢ってなにかあるの?」
……今の?
この人…俺がガキの頃言ってたこと、まだ覚えてるのか?
「俺は…中学の時サッカー部で全国大会で勝ち進みました。
高校は強豪の野高からも推薦が来ました。
だけど、俺はあえてサッカー部の弱い北高を選びました。
あの弱いチームを、冬の選手権で国立に行くことが俺の今の夢です。
そして、プロになって、チームに貢献して、ヨーロッパのチームに移籍して経験を積み、強いとは言えないこの日本のサッカーチームで、U杯で優勝を目指すのが、俺の最終目標です。」
俺には高すぎる夢だけど、でも高い壁の方が乗り越えたとき気持ちいいってものだろう。
「……舞桜には負けてられませんから。」
舞桜が世界に行くんだ。
俺だって、絶対。
「ふふ、ハルちゃんは昔から変わらないわねぇ」
「え?」
「昔からライバルはいつも舞桜だったから。
足の速さも、勉強も。」
そう、だったっけ…?
「春翔くんは、舞桜のためなら自分の夢を捨てる覚悟はあるのかな。」
おじさんは、俺に向かってまっすぐそういった。
俺は、迷うことなく答えは出る。
「ありません。できません。」
俺は、誰かのために自分の夢を諦めるほど、落ちこぼれてはいない。
「……そうか。」
「俺にとってでかすぎる夢かもしれません。
だけど、目の前の目標捨てて、次の夢は来ませんから。
俺は絶対、自分の夢を自分で掴みます。
それを奪う権利は、誰にもないはずです。
舞桜はトラックで、俺はピッチで。
場所は違えど目標は一緒だと思っています。」
「その目標はなにかな」
「世界に、日本の強さを見せつけることです。
世界を相手に強いとは言えない陸上とサッカーで、必ず。」
俺は、おじさんの目を見たまま強くいった。
夢はでかすぎるくらいがちょうどいいんだよ。


