「そりゃ私は香坂に釣り合ってないでしょうね。
あの人がかっこいいのは私も知ってる。
だからって、香坂の友達になるためには顔査定でも必要になるわけ?
香坂の友達にすらなれてないあんたたちに、なんでそんなこと言われなきゃいけないの?
言っとくけどね、香坂のことが好きなら私に言ったって伝わらない。
本人に言わなきゃ伝わらないんだからね!そんなこともわかんないの!?

友達になりたいならそう言えばいいじゃん。
そんなことも言えないような人に、とやかく言われる筋合いはない!」


あームカつく。
なんなの、これから部活なのに。
ほんっと腹立つ。

最近タイムが落ちてるんだからそんなことでいちいち時間を奪わないでいただきたい。


「………話はそれだけ?なら私はもう行くから。
そんなくだらないことでいちいち呼び出さないで。

私が誰と仲良くしようが、香坂が誰と仲良くしようが、あなたたちには関係ない。」


言っとくけどね、私はそんな高圧的な態度をとられたって怖くない。
香坂に初めて声をかけたときの方がよっぽど怖かったっつーの!


「それじゃ。」


私は、睨み付けてくる二人の間をすり抜けて図書室を出ようとドアに向かった。


「ちょっと待ってー。」


そんなぴりついた空気に、陽気な声が聞こえてきた。


「…誰?」


「俺。」


「…………和泉…」


あの日から、一切話しかけてこなかった和泉が本棚からひょこっと顔を出した。