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七月下旬、照りつけるような日差しに、教室の窓には白いカーテンを引いている。
開け放した窓から入ってくるぬるい風がカーテンを揺らし、時折チラリと、青空の切れ端を見せてくれた。
今日は終業式。
体育館での長い話は終わり、今は帰りのホームルーム中。
これが終われば、みんなが楽しみにしている夏休みの始まりだ。
でも、私に浮き足立った気持ちはない。
奏に会えなくなるから、夏休みなんかいらないのに……。
目の前の席には、奏。
最高気温が二十五度を超える夏日でも、変わらず長袖ワイシャツを着ているのが不思議だった。
どうして半袖を着ないのだろう?
日焼けすると、ヒリヒリと肌が痛む体質なのだろうか?
昔は私と一緒に暑い日差しの中を走り回っていた記憶があるので、そんな理由ではないような気もするけど……。
奏に聞きたいことは日に日に増えていく。
それらの答えを得られないままに、一学期は終わってしまった。
「いいかお前ら、受験生だからって机にかじりついてないで、たまには外に出かけろよ。
だが、ハメは外さず、節度を守って高校生らしくな。以上、解散!」
担任の先生が話を締めて出て行くと、教室内は一気に騒がしくなる。


