後夜祭で一番の歓声が湧き、うるさいほどに盛り上がる。
「トップバッター、やりたい人!」という司会の声に、手を挙げて輪の中に走り出てきたのは、見知らぬ女子。
一年生かな……みんなの前で告白するなんて、すごい勇気。
OKがもらえる自信があるからなのか……。
マイクを向けられて、彼女が話し出す。
「一年二組、谷中みうです。野球部のマネージャーをしています。
えっと、あの……断られるって分かってるんですけど、もう部活で会えないし、言わせて下さい」
真っ赤な顔で緊張している彼女は可愛かった。
自信があって前に出てきたのかと思ったのに、違うみたい。
もう部活で会えないからということは、告白したい相手は野球部の三年生だろうか?
「うまくいってほしいな……」
独り言のつもりで彼女を応援したら、「たぶん無理」と、隣の奏が口を挟んできた。
「どうしてそんなこと言うの?
可愛い子だし、一生懸命だし、きっとOKもらえるよ」
「いや、だって、あの子の呼び出す相手って、あいつじゃないの?」


