怖いくらいに真剣だった。
音楽に、ピアノに、真剣勝負を挑む奏は素敵で、肌が粟立ち、心が震えた。
やっぱりピアノじゃないと、ダメなのかな……。
文化祭で振り回した結果、分かったことはそれだけだった。
軽音部の演奏が終わり、ワッと歓声が湧く。
私はロック系の音楽に疎いので、聴いたことのない曲ばかりだったけど、ボーカルと一緒に歌っている生徒も大勢いたから、きっと有名なバンドのコピーだったのだろう。
空から茜色が消えて、夜が濃くなり、キャンプファイアーの赤さが増していた。
四分の一ほど欠けた月がハッキリと見え、風が冷たく感じられた。
文化祭実行委員の二年生男子がマイクを手に火の近くまで進み出て、アナウンスする。
「後夜祭も残り最後のプログラムとなりました」
最後のプログラムという言葉に反応して、「オ〜」とどよめきが起こり、みんなの期待が増す。
うちの高校の伝統で、後夜祭のシメは毎年"コレ"だと決まっているからだ。
「三年生の先輩方は、泣いても笑ってもこれが最後ですので、思い切って参加して下さいね。
それでは行ってみよう。告白プロジェクト〜!」


