奏 〜Fantasia for piano〜


昼休みに、梨奈に『いいの?』と聞かれて、『よくない』と正直に答えた。

でも、幼なじみかと問われた奏に『たぶん』と言われてしまった私には、他の女子を止める権利は持っていない。


正面玄関から出て行く奏たちを見送って、溜息をつき、裏玄関へ。

外に出ると、澄み渡る水色の空に、少しだけ心が慰められる思いがした。


私は私で、頑張ればいいよね……。

奏に聞きたいことはたくさんあるけど、それは明日にしよう。

今日はピアノのレッスン日なので、歓迎会に私も参加したいとは言えないから。


奏の影響で五歳からピアノを習い始め、月に二回、今もずっと同じ先生に教わっている。

ピアノ歴、十二年。でも、残念ながら音楽的なセンスがないらしく、過去数回出場したコンクールでは、いつも予選で落とされていた。

先生いわく、プロのピアニストは努力だけでなれるものではないらしい。

努力するのは当たり前で、前提として生まれ持った才能が必要みたい。

私には、その才能がなかったというわけで……。