『好き』って言葉はすごく素敵な言葉





言われて嫌な気持ちになる人なんていない、とこの時までは思ってた






そう、この時までは










「みるく…?僕の言葉、聞こえてた?
好きだよ、愛してる」



「…ただの一目惚れ、なんでしょ?
そんなので愛してるだなんて言わないで」



「…あぁ…そうだね
君と実際に話して日は浅いもんね
もっとじっくり知っていきたいなぁ」




「…私はそろそろ帰してほしいんだけど」





「いくらみるくのお願いでもそれは聞けないなぁ
あ、くるみ、だったよね」








さらっと出てくる本名

…知ってるんだ、やっぱり。




ゾワッとする

こんな人に好かれていたのか




「どうやって知ったの?」



「そんなの簡単だよ
…方法は言えないけどね」




「…ユイくんは、ユイくんのことは
何も教えてくれないの?」




「…僕のこと?
やっと、くるみも僕に興味を持ってくれたんだね。嬉しいなぁ」






情報は多いに越したことは無い。

いずれ役に立つかもしれない。
聞いておく価値はあるかも




「僕は…本名は唯人。まぁ、変わらずユイくん、って呼んでよ。」




唯人…?
どこかで聞いたことあるような、ないような
まぁ唯人なんて名前、たくさんあるもんね






「…くるみのことを愛してる人間だよ
ちゃんと仕事もあって働いてる
くるみと一緒に過ごしていく上で何一つ不自由なく暮らせるぐらいは稼いでるから、何かあったら言ってね」








本気だ。本気で私のことを好きなんだ。


こんなに、怖いぐらいに想ってくれるのは
あなたぐらいだよ。






「いつから私のこと好きなの」




「…それ、聞いちゃう?
1年前だよ」





そういえばユイくんとSNSで出会ったのも1年前。
ここまでくると何か感心しちゃうな…





「じゃあ、こうやって会う約束するのも前から仕組んでたってこと?」






「ご名答。そのとおりだよ
僕はくるみに会うためにSNSをやってたんだからね
大変だったよ、いきなり話しかけてもブロックされちゃうかもしれないからどうやったら自然になるか、とか考えたし」





そんなの…知らないよ。
あのとき会う約束をしなければ、会わなければこんなことにはならなかったのに…