「じゃあね、サチ」 残念ながらクラスが離れ離れになってしまったサチに手を振ると、自分のクラスへと足を進めて行く。 桜吹雪が風で舞い上がり、廊下へまるで通勤ラッシュのように人が吸い込まれる波に呑まれそうになった…… その時 どこからか、視線を感じたような気がした。 きょろきょろと辺りを見渡してみても、人だらけでよく分からない。 気のせいかな? 踵を反すと再び教室への道を急いだ。 「普通科3組、倉野……か」 風にかき消された声になんて、気付くハズもなく……。