話は去年に遡る。 今年もチームは優勝。 私と同じように入学早々スカウトされた沙良先輩は夏の大会を終え、大役を果たせた事で一番充実していた頃。 チーム内にある噂が流れた。 それは……キャプテンが沙良先輩を好きなんじゃないか、そんな噂。 結末を知らない私の胸も、その言葉にちくんと痛む。 だって……こんなに優しくて愛らしい人、これまで見たことない。 私でも抱き締めたくなるぐらいの小さな体で頑張る姿は、きっと誰もが好きになる。 「それでね、そんな噂が流れてから急に亮さんが近付いてきたんだ」