東高★男子サッカー部~私の仕事はマスコット




聞きたくなくて、耳を塞ごうとした私の手を亮先輩はやすやすと取った。



両手をバンザイみたいな形で捉えられて……右の耳元に寄せられた唇。



「一志はさ、亮君だって代わりにしてるって言ってたけどさ」



至近距離の先輩の顔から逃れるように、必死に左を向こうとする私。



「俺は別に誰の代わりとか思った事無いから……だから俺にしとかない?」



「俺に……って??」



同じような背格好だけど、笑うと崩れるキャプテンの顔とは違って、亮先輩の瞳は体の内部まで刺されるような強さを感じる。



……痛い。