聞きたくなくて、耳を塞ごうとした私の手を亮先輩はやすやすと取った。 両手をバンザイみたいな形で捉えられて……右の耳元に寄せられた唇。 「一志はさ、亮君だって代わりにしてるって言ってたけどさ」 至近距離の先輩の顔から逃れるように、必死に左を向こうとする私。 「俺は別に誰の代わりとか思った事無いから……だから俺にしとかない?」 「俺に……って??」 同じような背格好だけど、笑うと崩れるキャプテンの顔とは違って、亮先輩の瞳は体の内部まで刺されるような強さを感じる。 ……痛い。