「ただいまー」 ガチャガチャと3箇所も施錠された大きなドアを開きながら、普通にただいま、を言う沢井がほんの一瞬だけ、普通の高校一年生に見えたり。 「お邪魔……します」 誰かが出てくる気配は無いけれど、落ち着いた雰囲気の家にはそぐわない脱ぎ散らかされた男物の靴。 その靴に一瞬怯えた顔をした私に 「兄貴の友達。別に襲ったりしねーから」 そう……今日始めての笑顔を見せた。 もちろん、そんな言葉と笑顔なんかじゃ私の心臓は落ち着いてくれなくて……。