陵のおかげで、冬休み明けの学力テストの結果が、思いのほか良かったから実現した第一志望合格。

陵には、感謝の気持ちしかない。


「結愛、合格したって連絡しようよ!」

「うん。」

深月に促され、カバンからスマホを取り出す。

「……。」

病院に入院していたはずの陵と交換した、スマホの番号……説明できない不思議な何かが働いたのかもしれない。

もしかしたら陵が、最期に会いに来てくれたのかな…なんて思うのは、ただのうぬぼれかな。

「結愛?どうしたの?固まっちゃって。」

「ううん、何でもない。」

我にかえった私は笑顔で答えると、お母さんに電話をした。

合格の報告を聞いて、”お祝いしなきゃね!”って喜んでくれたお母さんが電話口で嬉しそうで、私も嬉しくなった。


陵の、あの時”時間がない”と言っていた言葉の意味が、今なら少しだけ解る気がするよ。

陵がくれた新しい私と、一歩ずつ前へ。


陵との時間、その全てが奇跡ーーー。

まだ、悲しくて泣いてしまう事もあるけれど、私はそう思うことにした。