虹が出た。 夏の香りがした。 私は暑さが届かない病院の室内で 空を見上げて一人短いため息をつき、 「もう夏祭りか…。」と、 呟いた。 誰にも届かないほどに、 小さな小さな声で…。 叶うことはただ一つ… 少しだけ、もう少しだけ…時間が欲しい… それはまるで… 砂時計のように、簡単だといいのに。