平気なフリが苦手な君が、俺が断るたびにみせた泣きそうな笑顔も。 好きなフリが苦手な君が、きつい香水の匂いを嗅いで、引きつった微笑みも。 嫌いなフリが苦手な君が 嘘をつくのが苦手な君が ……俺のことを嫌いだと言う、そんな君がーー ーーーー俺には全て、愛しくて。 「……柚っ!!」 いつも心の中で呼んでいた、大好きな君の名前を叫ぶ。 廊下を走り抜けて、とぼとぼと歩いていた彼女を後ろからしっかりと抱きしめる。 ーーー