「やっばーいっ!!遅刻!遅刻っ!」

食パンをくわえ、よくありがちな雰囲気で走る私、佐々木姫子です。

「転校初日からコレ!?マジありえないっ!!」

クリーニングのかかった制服をふりみだし、全力ダッシュ。

「あと5分……やばいよっ!!」

ひたすらに走る。走る。走……

(これって、次の角を曲がったら、男の人とぶつかっちゃう的な?それが、運命の出会い的な?)

少々ニヤけながら、曲がり角を大きなカーブを描きながら行く。

ドンッ!!!

(ほらぁっ!!きたっ――)

「おい、てめェ」

「ん?」

ゆっくり顔を上げる。

「よくも、俺にぶつかって来たなァ」

顔面蒼白。金髪に長い学ラン、おまけにタバコ臭い。

「ごっ……ごめんなさいっ!!」

泣き出しそうな顔をしていたのだろうか、その人はそんな私を見て鼻で笑うとこう言った。

「次は気をつけろよ 遅刻娘。」

「え゛!?」

時計に目をやる。おしまいだ……

彼に笑われながらとぼとぼと学校へ行った。