丁寧な心理描写、情景描写。映像を見ながら心を覗いているようで、どんどん夢中になりました。文章力、作品の完成度、ずば抜けて高いです。
普通に過ごせることで十分幸せだと知る入院生活。病院内の様子はかなり本物。
そんな入院生活を、生き生きと過ごす祭と聡。幸せで夢中で。そんな二人を暖かく見守りたい反面、聡の彼女である美紀のことが頭をよぎり常に切ないのです。
なぜなら、聡と祭の入院生活を描いているのは、聡の彼女、美紀なんですから。
だから初めから最後まで、どんなにたのしくても切ない。たまに爆笑させられるのに、やっぱり切ない。
ラストのやっちゃいけないこと。そのシーンは美しくて悲しくて、涙がでました。
美紀が用意してくれたハッピーエンドと、祭が残した遺言のギャップも心に押し寄せてくるものがありました。
言いたいことはまだまだありますが、とにかく感動。圧巻の一作でした。是非読んでみてください。