とりあえず、ここにいてもしょうがない。というか、いつまでもここにいると、さっきの悲痛な叫びを聞いた誰かに変な目で見られるかもしれない。
いたたまれなくなって、「祭とのやっちゃいけないことをしなきゃいけない」という言い訳にも近い理由を付けて、病室に戻ってきたわけだが……。
この状況はなんだろうか。
いや、よくよく考えれば至極自然な光景だ。
看護婦が病室で窓を開けたり、患者のベッド周りを片付けたり、通路を確保したりと週に一度のシーツ交換と同じような光景。
しかし、今日はシーツ交換の日ではない。今日は木曜日であって、イベントと言えば教授総回診しかない。
だからだろうか。看護婦のこの慌ただしさが異様なのだ。
教授が各ベッドに回るだけで、まるで家庭訪問の掃除をするお母さんのような慌ただしさだ。外部の人間ならまだしも、自分の病院を仕切っている教授だ。
そんな教授が入院患者のベッドを回る行為そのもの自体、おかしいと言えば、おかしいのだが、少しでも見栄えをよくしておこうと考える看護婦のこの行為そのものもおかしい。
何をそんなに見栄を張ることがあるのか。これで給料に変動でもあれば別だが。



