「聡くん、お見舞い行くからな?」
急展開とはこのことで、まるで読み進めていた本のページを一ページ飛ばして読んでしまった時と同じような感覚に陥った。
「お見舞い? いやいや、ホント大丈夫だから。」
「何ー? 彼女の私が来ちゃいけない理由でもあんのか?」
ないと言えば嘘になる。美紀には本当の病気のことを知られたくなかったし、何より不安にさせるのが、迷惑をかけるのが嫌だったのだ。
「いや、本当に来なくて大丈夫だから。心配いらないからさ!」
その思惑を知られないように言ったせいか、物凄くやましいことを隠しているような気持ちになって、それが言葉にも表れてしまった。
「病院の場所も先生から聞いたし、今日はテストで午前中までだから、多分、一時くらいには着くと思うから。それじゃ!」
先生もまったく、どうして人のプライバシーを守ってくれないのか、入院している病院をわざわざ他の生徒に教えるなんて……ん!?
「きょ、今日!? 今日って今日か!? ちょ、おーい! 美紀? 美紀!」
俺の声は虚しく、中庭中に響いただけで、美紀の声はもう受話器からは聞こえなかった。
「マジかよ……。」思わずそんな声が出た。



