____。
伏見さんの話を聞き終え、私は思わず涙してしまった。そんなことがあったなんて、聡くんは一言も言ってくれなかった。
いや、私自身聞こうとしなかった。訊くのが怖かったのだ。聞くのが怖かったのだ。
ずっと耳を塞いで、目を塞いで、聡くんから離れてきた。向き合おうとしなかったのだ。
私は____そんな当時の私がどれだけ情けなかったか。聡くんが当時、どれほど深く傷つき、悩んでいたか。伏見さんの話にそのすべての答えが明らかになっていた。
「伏見さん、ありがとうございました。」
私は礼を言って、立ち上がった。
「どこに行くんだ?」
「____あの二人に一番近い場所に。」