恭平さんは10秒間ほど、頭を下げた。
それから上体を起こした瞬間、不謹慎だが、大笑いしてしまった。
「な、なんだい? そんなに僕の話はおかしかったかな?」
「そ、そうじゃないんです……ヒーヒーヒー……あの……その高そうなスーツに……私の鼻水ついちゃってます!」
「ええー!?」
私のせいなのに、その高そうでキメキメのスーツに鼻水が固まった白い筋がピーッと綺麗な直線を描いているというギャップに、思わず笑ってしまった。
「あーあー、こりゃ、有名になって一日も早くクリーニング代を返してもらわないとな。」
そう言って笑う恭平さんに今度は私が深々と頭を下げた。
「クリーニング代とは言わず、それよりももっと高いスーツをプレゼントできるように頑張りますね!」



