祭ちゃんはなぜか私を屋上へ連れてきた。
「ここ、立ち入り禁止ですよね?」
そう訊いても、祭ちゃんは「ダイジョウブーメランパンツだよ、ユー!」とこれまた意味不明かつ何の根拠もないことを言って、私の腕をグイグイ引っ張った。
「さて、ユー。そろそろ名前を教えてくれるかな?」
「あ、藤代美紀と申します……。」
「美紀ちゃんか。いい名前だ! で、今日は誰かのお見舞い?」
「はい……彼氏の。」
「彼氏? 年上の?」
「いや、同い年です。」
「その彼氏、どんな人?」
「うーん、強いて言えば、悟ってる感がすごい、冷めたタイプですかね。」
そう答えると、祭ちゃんはうんうんと頷きながら、どこか寂しそうな表情を浮かべた。あの時の顔を私は忘れない。



