「……なんだよ。なんだよそれ! 俺に彼女がいること知っててなんでそんなこと言うんだよ!」
「……わたしの……最期の……やっちゃいけない……こと……だよ?」
こんな時までやっちゃいけないことをしようとしていたなんて……気が付くと、俺の手は祭の手を放して、涙を拭くことに集中していた。
「でも……わたしは……もうすぐ……死んじゃう……んだよ?……どう?……今まさに……死んじゃう……女の子に……愛の告白……を……される気持ち……。」
きっと祭はこの答えを待っているはずだ。
「……心外だな。」
「あっ……聡くん……アウトッ……。」
そう言って、ゆっくりと俺にビンタしようとした手を掴んだ。
「最期なんて言うなよ! 治ったらまた一緒にやっちゃいけないこと、やるんだろ? 何諦めてんだよ!」
「もう……十分だよ……十分……幸せだったよ……。」
「まだだ! まだ、これからなんだよ!! 普通に学校に行って! 普通に恋愛して! 普通に働いて! 普通に結婚して! 普通に子供を産んで! 普通の家庭を作って!……普通に死ぬんだろ! まだ、途中だろ!!」
「……願ってもね…叶えられない夢も……あるんだよ……叶えるのが……難しい夢……だから……夢って……夢を持つのって……素敵なこと……うっ!」
その時、祭が急に胸を押さえた。



