もう祭には会えない。
それは仕方がないことなんだ。
生きているからいずれ別れはくる。
そんな祭に唯一できることがあるなら、祭のことを忘れないで生き続けることだ。
それが残された者にできる、唯一のことなのだ。
俺は走った。祭と一緒に走った病棟内を走った。
電気が灯っている。看護婦も追いかけてこない。祭もいない。一人で走った。
やっちゃいけないことかもしれない。でも、やっちゃいけないからと言って、祭の最期に間に合わなかったら、ただの馬鹿だ。
この一歩一歩が祭の死を受け入れることに繋がっている。そんなつらい事実があっても、俺は走ることをやめなかった。



