何寝言言っているんだ? 俺にしかできない? ふざけるな!
何赤の他人に押し付けているんだ? 俺を何かと勘違いしていないか? 俺はイエスでも、釈迦でもない。命を救うのは医者の仕事だ。俺の仕事じゃない。
「恥ずかしい話なんだけど、私は、祭に対して父親らしいことは何もしてやれなかった。祭を生んで、妻が死んでからは、祭を養うために必死になって働いた。学校行事も一度も行ってやれなかった。お弁当を作ってやったこともない。身体の弱い祭が学校を休んだ時も一緒にいてやれなかった。最低な父親だよ。そんな私に、祭のために何かしてやることがあるとするなら、聡くん。キミにこうしてお願いすることしかないんだよ。」
ほら見ろ。責任転換だ。自分が不甲斐ない、ダメな父親だったからと言って、俺に全部なすりつけようとしている。
こいつは祭のことを何一つわかっていない。
「……俺はあくまで他人です。友達かもしれないけど、恋人じゃない。それに、祭が今、一番必要としているのは、お父さんじゃないでしょうか。長い間一緒にいれなかった分、少しでも祭の傍にいてあげることが、祭にとって一番いいことなんじゃないかと思います。」
「聡くん!」恭平さんは声を張った。
「キミは祭の死から逃げようとしているだけじゃないのか?」
「……もう帰ってください。」
「祭が……祭が死んで悲しいのは、聡くん、キミだって同じじゃないのか!?」
恭平さんは涙を溜めながら訴えかけてきた。その訴えが、ウザくて、煩わしくて、気持ち悪くて、ぶん殴りたくて、消え失せてほしくて……。
「もう帰ってください!!」
恭平さんの言葉を脳内からかき消すように、思いっきり叫んだ。
恭平さんは、立ち上がり、何も言わずにその場を去った。



