恭平さんの存在を俺は祭から聞かされていなかった。というか、家族についてのことは何一つ聞かされていなかった。
まあ、俺も俺で家族のことも、美紀の存在も祭には話していなかったし、おあいこというか、そういう機会が今までになかった。
「いつも祭がお世話になってるね。」
「あ、いえ、お世話になってるのは僕の方でして……。」
なぜか緊張する。まるで、これから「祭さんを僕にください!」とお願いする人のような感じ。
そんなわけないのに、やっぱり女友達の親に会うのは、それぐらい神経のいることなのかもしれない。
対する恭平さんはというと……なぜか、なぜか……。
終始、俺の方をじっと見て、微笑んでいる。
この人……もしかしてそっち系の人なのだろうか……。



