「でもね、とうとう昨日、言われちゃったんだ。先生に。もう助からないって。」
「……手術をすれば、治るんだろ?」
「手術ももうできないんだって……最近の病気って優秀だよねー、いやあ、クマったぜ!」
「そんなこと……急に言われても……。」
急に死ぬなんて言われて、こういう時、一体どんな顔をすればいいんだろう。どんな言葉をかけてやれば正解なんだろう。
今隣にいる明るい女の子がもうじき消えてなくなる。その実感が沸かない。沸かないから想像することもできない。
「そうだよね、なんか暗い話でごめんね?」
「……もう、いいよ。」
これ以上、明るく振る舞わないでいい。
「あ、そういえば、死ぬ前に遺言書書かないとね。聡くんにも何か相続させようと思うんだけど、何が欲しい?」
「……もういい。」
これ以上、我慢しなくていい。
「でも、やっぱり、天国とかあるのかな? そこで聡くんみたいな男の子と今日みたいな星空見れるかな? あ、でも、天国だから、上を見るんじゃなくて、下を見るんだよねー。下から見た星って綺麗なのかな?」
「もういいって!!!」
俺は祭を強く、強く抱き寄せた。